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おじさんと音楽 2018年まとめ

NOW PLAYING / AL

NOW PLAYING

 

もう、元andymoriと言わなくていいよね。ALにとっては2枚目のアルバムだったけど、何かこの作品で、本当の意味でALっていうバンドがどういうバンドなのか、分かった気がするし、好きになれた気がする。

 

一曲一曲がとても潔くて、次から次へと、腹にたまることなく楽しむことが出来るので、さらっと聴けて、じゃあもう一回!っていう気持ちになるアルバム。

 

youtu.be

 

 


歓声前夜 / SUPER BEAVER

歓声前夜(初回限定生産盤)(CD付)

 

個人的に、すごい好きな曲と、あまりそうでもない曲が、極端に分かれたアルバムだった。結構、メンバーでシンガロングしているような曲が多くて、でも残念ながら、そういう曲に限ってあんまり自分にヒットしなかった。

 

ダントツに好きな曲として、【シアワセ】と【美しい日】があった。

 

【シアワセ】は、SUPER BEAVERがメジャー時代で迷走中(?)だった頃に作った曲で、元々はとても古い曲。いわゆる、それのリメイクっていう感じかな。ボーカルの渋谷さんの真っ直ぐなボーカルを、壮大なオーケストラをバックに重厚な演奏が盛り上げるものだから、胸が熱くなってくる。

 

【美しい日】は、シングル曲であるが、シングルで聴いた時はそんなに感じなかったんだけど、アルバムで聴くと、特に先述の【シアワセ】の次に入っている曲なので、また少し感じ方が変わった。

 

アルバム全体として歌っている一つのテーマとして、”シアワセ”とか”歓び”とかってのがあるんだと思うけど、まさにそれを歌っている、アルバムの核となるような2曲だと思う。

 

youtu.be

 

 


WHALE LIVING / Homecomings

WHALE LIVING

 

ホームカミングスは、このアルバムで、日本語を積極的に使うようになった。というより、英語歌詞の曲は、最後の【Songbirds】の1曲のみだけど。

 

個人的には、日本語歌詞には大賛成なんだけど、どうでしょうか? アルバムの作り方としても、今までとは違っていて、今作では、アルバム1枚でひとつの物語を表現しようと試みているので、そういう意味では、”読み物”として楽しめるように、やっぱり日本語の方が良いんじゃいかなって思う。

 

youtu.be

 

 


REBROADCAST / the pillows

REBROADCAST 初回限定盤

 

ピロウズのアルバムは、長いこと聴いていなかったんだけど、久しぶりに聴いてみたところ、とてもかっこよかった。

 

ピロウズは、2019年で結成30周年を迎える、ミスチルスピッツと同じくらい、とても長く長く活動してきたバンドなので、もうそれだけで素晴らしいと思える。僕がピロウズを知ったのが、結成15周年のときだったので、もうかれこれ15年も聴いてきたと思うと、何かその折り返しに今差し掛かったみたいで、とても感慨深くで、またちょっとピロウズ熱が再燃しているところ。

 

youtu.be

 

 


話がしたいよ / BUMP OF CHICKEN

【Amazon.co.jp限定】話がしたいよ / シリウス / Spica (初回限定盤)(CD+DVD) (A4クリアファイル付)

 

今年、本当にたくさんの曲を発表したBUMPだけど、その全部が全部、自分にとってしっくりくる曲だとは言えなかった。

 

その中でも、この【話がしたいよ】は、個人的には、久々に大ヒット曲になった。歌詞がすごい好きで、”ボイジャー”とか、ちょっと昔からのファンにとっては、ニヤリとするような言葉を入れてるところとか、にくいなぁって思った。

 

曲の感じは、【友達の唄】とか【コロニー】とかに似てるかな。どっちも好きな曲なので、嬉しかった。

 


ちなみに、年始の箱根駅伝の中で流れるCMのテーマソングとして、BUMPの【ロストマン】が選ばれたそうで、何を隠そう、【ロストマン】でBUMPにハマった自分にとっては、とても嬉しいニュースだった。

 

来年、新しいアルバムが出るかな。もうストックが溜まりすぎてるから、完全な新曲としての収録曲は、そんなにないかも?全曲、何かしらのタイアップなんじゃないかって勢いでしょ。

 

youtu.be

 

 

■2018年に知って、ハマりそうなアーテイストたち

 

ズーカラデル

夢が醒めたら

 

スピッツの草野さんも推しているようで、自分の中でかなりきているバンドの一つ。ボーカルの声がとても好みで、あとロックではあるんだけど、ちょっと可愛らしさを感じるような歌詞とメロディーが魅力的。

 

最初に、【アニー】という曲を聴いたときに、すげぇいい曲に出会った!と感動して一瞬で惚れ込んだ。もうこの曲が、頭から離れなくなってしまって、しばらくずっとこの曲だけ、youtubeで聴く生活が続いた。

 

今のところ、この【アニー】が入っているミニアルバム『リブ・フォーエバー』しか持ってないのだけれど、どうやら新しいミニアルバム『夢が醒めたら』が発売になっているらしい。聴きたいなぁ。

 

youtu.be

 

 


ArtTheaterGuild

HAUGA

 

個人的に、ずっとその気持ちが続いていくかは別として、1年に2,3バンドは新しいバンドを好きになりたいなぁって思っている。まぁ、そんなに熱心に探しているつもりではないんだけど、何かポコッとそういうバンドに出会えることがあって嬉しい。

 

今年に限っては、特に…というものを挙げれば、先述のズーカラデルと、このArtTheaterGuildを挙げたい。どっちも、久しぶりに自分にどんぴしゃで好きになったバンドだ。

 

ArtTheaterGuildは、the pillows山中さわおさんがプロデュースしたバンドなんだけど、聴いてみるとすごいかっこよかった。同じように、さわおさんプロデュースのバンドで、カミナリグモというバンドがあるのだけど、それとはまた違った雰囲気のバンドで、自分にはどんぴしゃだった。

 

何ていうか、こんなこと言うと、両バンドに失礼かもしれないが、ArtTheaterGuildは、正統なピロウズロックの継承者っていう感じ。カミナリグモよりも、かなりこっちの方が、ピロウズと似たようなテイストを感じる。

 

だからと言って、オリジナリティーがないわけではなくて、歌詞の感じもすごい独特だし、ちょっと気だるい感じのボーカルもクセになるし、ギターのリフとかすごい好き…何か好きなところを具体的に説明するのが難しいバンドだね。聴いてみた方が早いっすね。

 

youtu.be

 

 


17歳とベルリンの壁

Object

 

”17歳とベルリンの壁”が、バンド名である。もうそこから、結構異質な感じがするバンドだよね。

 

何がきっかけだったかはもう覚えていないけれど、今年のいつだったか、シューゲイザーというジャンルの音楽に興味を示したことがあった。ろくすっぽ、シューゲイザーという音楽は聴いたことがないんだけど、何故か聴いてみたいと思ったのだ。

 

それから、自分にしっくりくるような、シューゲイザーバンドを探す日々がしばらく続いた。ネットで、シューゲイザーバンドと言えば…みたいな感じで、色んな方が紹介されているバンドを聴いてみたりして、色々探した。

 

例えば、スーパーカーとか(これはシューゲイザーですか?)、初期のきのこ帝国とか(これはシューゲイザーですよね?)、その他もう名前も覚えていないけれど、色んなバンドを聴いてみた。

 

その結果、あぁ、自分が(何故か)聴きたいと思ったシューゲイザーはこれだ!と思える、一つのバンドに出会った。それが、”17歳とベルリンの壁”というバンドだったわけです。この名前にもひかれたかな。

 

シューゲイザーって、個人的には、ノイジーなギターの音が轟々となっている中、ほとんど聴こえない感じで、ボーカルが気だるそうに歌う音楽、と勝手に思っていたので、17歳とベルリンの壁は、まさにそれに当てはまるバンドだった。シューゲイザーって、何か気持ちいいよね、聴いていると。

 

(何と、youtubeで公式に全曲配信されている!)

youtu.be

 

 


Cattle

Somehow hear songs.

 

これも、17歳とベルリンの壁と同じく、シューゲイザー枠。

 

個人的には、Homecomingsがシューゲイザーをやってみたら…みたいな感じのバンドだと思う。そういうジャンルがあるのかは知らんけど、ちょっとポップ寄りのシューゲイザーかな(?)。いかんせん、まだ情報が少ないので、ちょっと興味を持って聴いてみようかなって思っているところ。

 

youtu.be

 

 


teto

手

 

今年、初めて全国流通のフルアルバム『手』を発売させたばっかりだそうだけど、このバンドはかっこいいねー。試聴機で一回聴いただけなんだけど、身体を電気が走った気分になった。

 

曲調は、どこまでもロックなんだけど、それに対して、歌詞が結構文学的な感じで、そのギャップが面白いね。どこかGOING STEADYを思わせる節がある。

 

youtu.be

 

 

 

それでは皆様、良いお年をー。

おじさんの音楽レビュー#33 『ロストマン / BUMP OF CHICKEN』

ロストマン/sailing day

ロストマン / BUMP OF CHICKEN

 

■年末になって、こんなニュースが流れてきた。見た方が早いので、まずその記事を載せておく。

 

natalie.mu

 

要約すると、BUMP OF CHICKENが2003年に発表した曲【ロストマン】が、2018年の正月(1月2日・3日)に放送される箱根駅伝の中でオンエアされる、箱根駅伝に関するCMのテーマソングに起用された、というもの。

 

これに関しては、僕自身がBUMPを好きになったきっかけが【ロストマン】で、今でも大好きな曲なので嬉しいのだが、その反面で、「やっぱり昔の曲は素晴らしいね」という気持ちと、最近の曲の自分に対しての”ハマらなさ”を、改めて感じてしまい、少しモヤモヤが残ってしまう。

 

最近の新曲では、【ロストマン】を聴いた時のような、胸をぎゅっと掴まれるような気持ちをあんまり感じないので…ただし、【話がしたいよ】は別格だったよね、あれはすごい良い曲だと思う。

 

まぁ、何はともかく、【ロストマン】が好きな僕にとっては、嬉しいニュースが流れてきて、懐かしさがこみあげてきたので、この曲に対する想いと解釈を書いてみようと思い立ったわけです。

 


■さて。

 

BUMPと僕の最初の出会いは、高校生の時だった。【天体観測】が発表されて、すごい流行ったんだけど、その時は、特にBUMPにはハマらなかった。変わったタイトルの曲だなと、珍しさは感じたけれど、藤原さんと増川さんの顔の区別もつかぬまま、その時は過ぎていってしまった。

 

そこから少し時間が経って、僕は大学生になった。僕は暮らしていた街を離れて、大学に通うため一人暮らしを始めた。そんな、大学生になりたての頃のこと。

 

身近にあったレンタルショップに行った時に、有線か店員チョイスのプレイリストだったのか、それは定かではないが、店内で流れていたとある歌が、何故か耳に残ったことがあった。

 

これも定かではないけれど、「どっかで聴いたことあるような声だな」くらいは、思ったかもしれない。とにかく、いい歌だな、と記憶には残ったのだが、それがどういうバンドのどういう曲かは、検討もつかなかった。

 


それで、家に帰って、夜中に「カウントダウンTV」を見ていた時だった。レンタルショップで流れていた曲が、ランキングを見ていたら流れてきた。そうそう、この曲だった!と、すぐに思い出せるほど記憶に残っていた。

 

そこでアーティスト名と曲名を確認して、初めてそれがBUMP OF CHICKENの【ロストマン】という曲だということを知ることになった。

 

その時に、BUMPと言えば、そういえば高校の時に、【天体観測】で流行ったバンドだったよなぁって、思い出すことはできたんだけど、そこからどうなったかは知らなった。だから、別に悪い意味で言うわけではないが、あの【天体観測】のバンドが、こんな渋い感じの曲を歌っているんだって思った。

 

すぐに、件のレンタルショップにて、シングル『ロストマン / sailing day』をレンタルして聴いてみることになるのだが、これがまた、ドンぴしゃで僕の心を掴んだ。【sailing day】の方も、もちろん素晴らしい曲だったんだけど、やっぱり【ロストマン】は特別だった。

 

何ていうか、重厚で渋い感じだが、少しずつ盛り上がっていって、希望に向かっていくような曲調が、新しい生活を始めたばかりの自分には合っていた。

 


そして、やっぱり【ロストマン】の真骨頂は歌詞だと思う。

 


状況はどうだい 僕は僕に尋ねる
旅の始まりを 今も思い出せるかい

 

こういう、語りかけるような歌詞で曲が始まるわけだけど、ここもまた、新しい生活を始めたばかりの自分には合っている歌詞だと思った。新しい生活の調子はどうだいと…しかも独りなので、自問自答するしかなかった。

 


■【ロストマン】の歌詞の個人的な解釈を書いてみると…

 

まず、【ロストマン】には、”僕”と”君”の2人の人物が出てくるわけだけど、この歌では、”僕”が”君”に別れを告げてるような場面、あるいは、別れたあとの”僕”の気持ちの様子が描かれている。

 


状況はどうだい 居ない君に尋ねる
僕らの距離を 声は泳ぎ切れるかい

 


強く手を振って 君の背中に
サヨナラを 叫んだよ

 

関係性は色々考えられると思うけど…例えば、古くから一緒に居た友達だったり、この曲のことを知ったときの僕の状況であれば、親の元を離れていく子どもなど…”僕”と”君”が居て、”僕”にとって、別れを惜しむ相手である”君”と、まさに別れなければならない場面に際して、あるいは、実際に別れた後の生活の中で、”僕”がその気持ちを吐露している、と考えられる。(あんまり、恋人同士という感じでは無いような気がするけど、どうだろうか)

 

というように、素直に読めば、”僕”と”君”とくれば、その両者は別人であると考えることが自然だと思うし、思い入れのある人が誰かいるのならば、そういう人を”君”に当てはめて読んでも、おそらく成り立つようにできていると思う。

 


■しかし、個人的には、この歌詞に出てくる”僕”と”君”は同一人物を表している…つまり、”僕”も”君”も、どちらも”僕自身”を表わしている、という物語を想像するようになった。

 

人は、きっと大なり小なり、日々色んな選択をしながら生きているのだと思う。小さいものを言えば、本当にキリがないけど、大きな選択と言えば、進学、就職、結婚などという、長きにわたって、自分の人生の方向性を決める選択というものが挙げられる。

 


そういう様々な選択を前にして、この【ロストマン】に出てくる”僕”と”君”は、それぞれ違う選択をした同一人物だという想像をした。

 

もう少し具体的に言うと、”僕”の方は、文字通りの現在の自分であり、”君”の方は、現在の自分とは違う選択をした自分だと想像している…何を言っているんだ?って感じだけど。

 

さらに言うと、”僕”の方が、より険しい道を進む選択をした自分というイメージになるかな。例えば、ある時点で、何か自分が叶えたい夢があったとして、でも頑張ったとしても叶うとは限らない…という状況で、それでも、夢を追うという道を選んだのが”僕”、そして、その夢を諦めて、無難な道を選んだ自分が”君”というイメージを当てはめている。

 

この歌に出てくる”僕”は、自分の選んだ道が正しかったのか、常に自問自答しながら(”君”に語りかけながら)も歩き続けているのだが、歌が進んでいくにつれて、少しずつ希望を見出していく、その気持ちの変化を読むことができる。

 



状況はどうだい 僕は僕に尋ねる
旅の始まりを 今も思い出せるかい
選んできた道のりの 正しさを祈った

 

先程紹介した、出だしの1番Aメロの歌詞だが、”僕”と”君”が同一人物であるという解釈に立つならば、ここの部分は、”僕”が”僕”に尋ねているので、素直に現在の自分との対話であると読むことができる。

 



君を失った この世界で 僕は何を求め続ける
迷子って 気付いていたって 気付かないフリをした

 

1番のサビであるが、ここで初めて”君”という言葉が出てくる。さらに、続く2番のAメロでは、”状況はどうだい 居ない君に尋ねる”という歌詞になり、1番との対比と考えるならば、”僕”の心情としては、まさに”迷子”=”ロストマン”であり、あの時のあの選択は、別の選択をした”君”と比べてどうだったんだろうかと、さらに苦悩を深めていることが分かる。

 


しかし、そういう想いを振り切るように、次第に力強く気持ちを新たにしていくのである。

 


強くてを振って 君の背中に
サヨナラを叫んだよ

 


これが僕の望んだ世界だ そして今も歩き続ける
不器用な 旅路の果てに 正しさを祈りながら

 

2番のサビの歌詞であるが、ここはまさに、”君”との決別を表わしている部分だと思う。この時点で、”僕”はすでに、自分が”迷子”になっていることを自覚しているし、自分が”不器用”であることも認めているんだけど、まだ自分の旅の”正しさ”を願うことを諦めてはいない。

 

それを物語る強い言葉が、”これが僕の望んだ世界だ”という部分だろう。”君”というのは、要するに自分の”亡霊”であり、ここにいる”僕”こそが、選択した本物の自分なんだと。

 



ああ ロストマン 気付いたろう
僕らが丁寧に切り取った
その絵の 名前は思い出

 

余談だが、この【ロストマン】という歌は、元々は”シザーズソング”というものだったらしいけど(シザーズ / Scissors = ハサミという意味)、それはおそらく、ここの部分を表していたのだと思う。

 

ここの部分の解釈は、過去に縛られていたことからの脱却というものだろうか。ちょっと独特な言い回しだけど、”丁寧に切り取った その絵の名前は思い出”というフレーズは、いくら丁寧に切り取ったって、それは思い出に過ぎないんだよと…つまり、大切なのは今でしょ、ということを歌っているのだと思う。

 



君を忘れたこの世界を 愛せた時は会いに行くよ
間違った旅路の果てに
正しさを祈りながら
再会を祈りながら

 

そして、こういう歌詞で歌は締めくくられる。”間違った旅路の果てに 正しさを祈りながら”という、こんな風に全く真逆の言葉をくっつけるやり方って、藤原さんの書く詞のひとつの特徴だよね。

 

そもそも、この歌の中に出てくる、”正しさ”ってどういう意味なんだろうね?あるいは、”間違った”ってどういう意味なんだろうね?

 

本当は、その道を選択しただけでは、その道が正しいか間違いかなんて、誰にも分からないだろうし、そもそも、ある時点では”間違っていた”と思ったとしても、そこからもう少し歩いたら、また別の光明が見えてくるかもしれない。

 

だから、やっぱり、”自分が選んだ”ということを信じるしかないんだよね。それが、一番強い気持ちだと思う。だから、どこかで諦めたとしてもそれも同じことで、”諦めた”という選択をした自分を信じるしかないんだよね。

 

 

■ちなみに、【ロストマン】には、制作にまつわる一つの逸話があって。

 

この歌の作詞作曲を行った藤原さんは、【ロストマン】の作詞に、実に9ヶ月もの時間を要したというのだ。

 

9ヶ月間ずっと一つの曲の詞を考えているって、どういう心境になるんだろうね。どっかで、これでいいやって思っちゃうこともあると思うんだけど、そう思わずに、真摯に向き合って書いたんだということは、この9ヶ月という長い時間が物語っているように思う。

 

本当に【ロストマン】の歌詞は、完璧というか、緻密というか、どこにも無駄なフレーズがない気がする。さっきも言ったように、(僕自身の想像も大いに含めているけど)”僕”と”君”の対比のからくりとか、本当に秀逸だと思う。長い時間かけても、良いものが出来るとは、決して限らないとは思うんだけど、この【ロストマン】の歌詞を読むと、かけた時間の分だけ、言葉の重みが伝わってくるので、9ヶ月は必要な時間だったのだろう。

 


だから、ここまで読んできて、はたと思う…ここでいう”ロストマン”とは、藤原さん自身でもあったのかなって。

 

音楽の道を選んだ自分を”僕”、選ばなかった自分を”君”として、しかも9ヶ月もかけて、一番自問自答を繰り返したのは、藤原さん自身だったのかなって思う。

 

 

■ということで、長くなりましたが…。

 

紛れもなく、BUMP OF CHICKENの最高傑作の曲のひとつである【ロストマン】、どういう風にCMに使われるんだろうね。お正月の朝は駅伝を見て、【ロストマン】をチェックしてみてください。

 

ロストマン

ロストマン

  • provided courtesy of iTunes

 

おじさんの音楽レビュー#32 『REBROADCAST / the pillows』

REBROADCAST 初回限定盤

【REBROADCAST / the pillows

 

01.Rebroadcast
02.Binary Star
03.ニンゲンドモ
04.ぼくのともだち
05.箱庭のアクト
06.眩しい闇のメロディー
07.Bye Bye Me
08.Starry fandango
09.BOON BOON ROCK
10.Before going to bed

 

 

 

■振り返って調べてみると、僕はthe pillowsのオリジナルアルバムとしては、18枚目のアルバム『TRIAL』を最後に聴くのを止めてしまっていたようだった。確か、このアルバムのあと、the pillowsは短い休止期間に入ったと記憶している。

 

もともと僕は、結成15周年の時にthe pillowsを知って、そこからさかのぼって古いアルバムを聴きつつ、新しいアルバムも聴いていったというファンなのだが、古いアルバムはどこまで戻っても本当に素晴らしい作品ばっかりだった一方で、新しい作品は、新しくなればなるほど、自分が好きになった頃のthe pillowsとは離れていっている気がして、徐々に熱が冷めていった。

 

そして、アルバム『TRIAL』辺りを境に、作品を聴くことを中断してしまうほどになってしまった。何度も言うようだが、ある程度古い作品はどれも最高なので、the pillowsは今でも本当に大好きで、今でも古い作品を聴いてアウイエ―している。

 


…そして、時が経って、最近(2018年)のお話。

 

目的はthe pillowsではなかったが、ArtTheaterGuildという、山中さわおさんプロデュースのバンドの作品をチェックしにレコード屋に行った時だった。そのおんなじ試聴機に、the pillowsのアルバム『REBROADCAST』が入っていたので聴いてみたことがあった。

 

「…あれ、何だか懐かしい感じだな」というのが、最初の感想だった。そして、これは全く失念してしまっていたのだが、そういえば来年(2019年)に、the pillowsは結成30周年を迎えるんだなということも思い出して、何だか急にthe pillowsが恋しくなってしまった。

 

結成30周年を迎えるということは、僕自身は結成15周年の時にthe pillowsを知ったので、ちょうどその折り返しを迎えることになる、と。そう考えると、何だか感慨深かった。

 

その時は、結局アルバムは買わなかったが、一旦気持ちを持ち帰って、the pillowsを懐かしく聴き直したり、新作アルバムや最近の活動などを調べてみたりしているうちに、「久しぶりにアルバム聴いてみるか」と思い立ち、後日『REBROADCAST』を購入したのだった。

 


■アルバム『REBROADAST』を聴いてみて、先述の通り、なんかとても懐かしい気持ちになった。もちろん、the pillows自体を久しぶりに聴くので、そういう気持ちになるのは必然のことだと思うけど。

 

昔のthe pillowsの方が好きだという意見を変えるつもりはないけれど、時間が経ったせいか、新しいthe pillowsに対して、それはそれとして聴くことができるようになったことは大いにあると思う。

 

ということで、アルバムへの向き合い方は、ちょっと変わっているかもしれないけれど、このアルバムへの感想や、自分で調べてみた情報などをまとめてみたいと思う。

 

 

 

■まず、ここまで何度も書いている、”懐かしい”ということについて。

 

自分なりに得た情報からも分かったことだったし、さわおさん自身も動画コメントの中で、「懐かしいワードなんか散りばめてあるので、ちょっとニヤッと笑ってくれんじゃないかなって思ってます」と語っているように、”懐かしい”と感じてもらえるように、ある程度”意図して”やっていたことだったということに気付く。そういうところも、僕がアルバムを聴いてみようかな、と思った所以のひとつだった。

 

the pillows「REBROADCAST」インタビュー|覚悟を決めた山中さわお 再放送のない未来へ向かう - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

 

youtu.be

 

ということで、得た情報なども踏まえて、懐かしいと感じる(べき)ところを挙げてみます。

 


■まずは、3曲目の【ニンゲンドモ】。

 

これは、確かアルバム発売に先立って、MVが発表になった曲だったよね。タイトルを見たときに、もうすでに「あれっ?」て思ったところだったんだけど…これは、あの伝説の名曲(迷曲?)の【Smile】の一節を拝借したタイトルになっている。

 

【Smile】とは、同名のアルバム『Smile』の表題曲なのだが、3曲を1つに繋げたように曲の感じがコロコロと変わる曲で、聴いたことのないピロウズファンの方は、ぜひ聴いてみてください、きっと驚く。

 

で、その【Smile】の中の、”第2ステージ”において、さわおさんが”クタバレニンゲンドモ”と連呼していて、歌詞カードでも表記がカタカナになっているので、今回の【ニンゲンドモ】と通じる部分があるなぁって思っていたが…本当にそうだったらしい。

 

ちなみに、【ニンゲンドモ】は”世直しソング”という感じ笑。何かの動画で見た気がするんだけど、さわおさんは、タクシードライバーにブチ切れたり(この下りがこの歌で歌われているところか?)、立ち読みしているサラリーマンにブチ切れたりしているそうで、それを本人は”世直し”と語っていた。

 

そういう、人間に対する怒りを力強く叫びつつも、自分もその人間の一部なんだよなっていう、悲哀や自虐を歌っている。ポエトリーリーディング的な歌い方もピロウズにとっては新しくて、面白い1曲だと思う。

 

ちなみに、MVには、ギター&コーラスとして参加しているyokoさん(noodles)が出ている。

 

youtu.be

 


■8曲目の【Starry fandango】について。

 

この曲も、イントロを聴いた時に、おっ!って思う曲だよね。さわおさんが語っている通り、この曲のイントロには、アルバム『Thank you, my twilight』に収録されている、表題曲【Thank you, my twilight】という、ピロウズ往年の名曲と同じく、ピコピコとなる電子音が使われている。曲の雰囲気も、何となく両者似ている感じがするよね。

 

そういえば、先述の通り、結成30周年のアニバーサリーイヤーを迎えたピロウズだが、その一連のプロジェクトを、”Thank you, my highlight! ”と名付けているが、これも【Thank you, my twilight】を文字ったものだと思われる。

 

20周年の時の、武道館での916LIVEにおいて、1曲目だったのが【Thank you, my twilight】だったんだけど、ファンのみならず、ピロウズにとっても、特に大切な曲なんだということを、今回のアルバムでも再確認できる。

 


■それから、9曲目の【BOON BOON ROCK】。

 

この曲には、”ローファイボーイ ファイターガール”という歌詞が出てくる。これもまた、アルバム『GOOD DREAMS』に、同名の【ローファイボーイ ファイターガール】という曲が存在しているので、明らかにここから拝借したものだろう。

 

曲の感じも…まぁ似てると言えば似てるかな、明るくて陽気な部分は、両曲ともになる雰囲気だと思うけど、【BOON BOON ROCK】のほうは、個人的には、【I Know You】を思い出した。

 


■その他、なんかこれ懐かしいなって感じたところを書いてみると、

 

4曲目の【ぼくのともだち】は、アルバム『PIED PIPER』に収録されている、【Across the metropolis】に雰囲気が似ていると思った。そういえば、2016年に出た、B-side Collectionアルバムのタイトルが『Across the metropolis』だったが、この曲(この言葉)もピロウズには大切なものなのかもしれない。

 

続く5曲目の【箱庭のアクト】なんかは、アルバム『Wake up! Wake up! Wake up!』に収録されている【プレジャーソング】に似ているなって思った。

 

さらに、続く6曲目の【眩しい闇のメロディー】は、the pillowsそのものを歌っているとも思われる超名曲、【スケアクロウ】や【雨上がりに見た幻】なんかの、重厚で渋い感じに雰囲気が似ていた。

 


…まぁもちろん、the pillowsは、30年近くも長く活動を続けてきたバンドなのだから、そりゃ似たような曲の1曲や2曲はあるだろうって感じだけど、先程も言ったように、そこにさわおさんの、ある種の企みが含まれているのだとしたら、そういうところを想いながら聴いていると、さらにこのアルバムを聴くことが楽しい。

 


■あと、これは曲に関することではないんだけど。

 

今回のアルバム『REBROADCAST』の、歌詞のジャケットの裏表紙を見てみると、雷と花火が同時に映っている印象的な映像を背景にして、何やら逆光で黒く木が映っているのが見える。

 

これはきっと…というか、十中八九そうだと思うんだけど、アルバム『Please Mr.Lostman』に収録されている、同名の表題曲【Please Mr.Lostman】のその歌詞に出てくる、”年を取って忘れられてく痩せた枯れ木”を表しているのだと思う。

 

先程紹介した、【Thank you, my twilight】が、結成20周年の916LIVEの1曲目だったのに対して、【Please Mr.Lostman】は、実は結成15周年の916LIVEの1曲目にやった曲だったので、同じくらい特別な曲という位置付けなんだろうね。

 


■という具合に、さわおさんがしゃべった通り、アルバムの至るところに、これまでのthe pillowsの記憶のかけらのようなものが散りばめられている。

 

で、それらを総括しているのが、”REBROADCAST”という言葉・曲なんだよね。

 


ふり返ったらちゃんとあった
夢遊病で残した足跡も
生き様って呼べるもんだな

 


Rebroadcast.
May I wish to redo again?
May I wish for a chance again?
(再放送
 もう一度やり直しを望んでいい?
 チャンスを望んでいい?)

 

これは、1曲目の表題曲【Rebroadcast】の歌詞の一部なんだけど、例えば、前者の部分で出てきている、”足跡”という言葉は、the pillowsを表しているフレーズの一つだと思う。印象に残っているのは、【雨上がりに見た幻】で、

 


足跡の無い道を選んで
すいぶん歩いたな
荒野の果て 何処かにきっと
足跡残ってる
それだけが それだけが
生きた証
それだけが それだけが
僕らの誇り

 

という風に歌われている。【雨上がりに見た幻】という歌は、結成20周年のときに生まれた、新しいthe pillowsのマスト曲であり、あの【ハイブリッドレインボウ】の続編的な要素も含んでいるので、とても特別な歌だということは明らかである。

 

”REBROADCAST”とは、直訳すると”再放送中”という意味になるが、まさしくこのアルバムを象徴しているような言葉になっていると思う。

 

さわおさんもリスナーも同じだと思うけど、過去のthe pillowsの記憶に触れて懐かしんで、何ていうか同窓会みたいな感じだよね。久しぶりに会ったね、ってお互いを労うような、そういうアルバムだと思う。

 

そして、ここはまだ、30周年イヤーの入り口に過ぎない。これからの、the pillowsに注目していきたい。やっぱり、the pillowsはかっこいいね、これぞロックバンドだよね。

おじさんの音楽レビュー#31 『aquarium / 高橋優』

STARTING OVER(期間生産限定盤)<CD+DVD>

【aquarium / 高橋優】(アルバム『STARTING OVER』収録曲)

 


■”平成”という時代が終わろうとしている。

 

2019年(現在で言うところの来年)の、おそらく4月に新しい元号が発表されて、5月から平成から新しい元号へと移っていくと決まっているらしい。

 

僕自身は、”昭和”生まれだが、物心ついた頃には”平成”になっていたので、もう当たり前のように”平成”という時代を生きてきた人間ではある。だから、元号が変わるという経験はもちろん初めてだ。どういう気分になるんだろうね。

 


さて、さかのぼること2009年(平成21年)。

 

当時はインディーズではあったものの、『僕らの平成ロックンロール』という初めての全国流通アルバムを引き下げ、日本の邦楽界に現れたシンガーが居た。

 

フレームの太い黒縁メガネに、ボサボサな黒髪を振り乱して、ロックンロールと言いながらもアコースティックギター一本で、情熱的な歌を歌う人物…それが高橋優その人だった。

 

 


■僕が一番最初に高橋優を見たのが、【駱駝】という曲のMVだった。ずっと顔がドアップに映っていて、終始アグレッシブに歌っているもんだから、何なんだこの人は?と思って聴きはじめたのがきっかけだった。MVには、ど真ん中にデカデカと、シンガーに被るように歌詞が載せられていた。

 

別のMVも見てみる…確かその時は他に、【素晴らしき日常】と【こどものうた】が発表されていたんじゃなかったっけな…どれも同じようなMVの作りになっていて、映像のど真ん中に、歌詞が載せられていた。

 

それで僕は感じ取った。ああ、このアーティストは”言葉”を伝えたいと、本当の意味での”歌”を歌いたい人なんだな、と。

 

奇遇だったのが、よく飲みに行く仲間も、ちょうど同じ時期に、良いアーティストを見つけた、と言って紹介してくれたのが、この高橋優だった。仲間内で、すぐに盛り上がったのを覚えている。ちなみに、その仲間と行った、広島にかつてあった(今もあるんだっけ?)MUSIC CUBEという冬フェスにて、生・高橋優は一度だけ見たことがある。

 

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■…と、ここまで書いて、さぞ高橋優マニアなんだろうな、と思われるかもしれないが、申し訳ない、最初の頃は熱心に聴いていたのを覚えているが、最初の衝撃が強すぎて、徐々に物足りなくなっていったっていうのが事実としてあった。

 

まぁ、別にそんなに大それた理由なんてないと思う。高橋優が好きというのは変わっていないけれど、たくさん好きなアーティストが居て、そこに埋もれていっただけだと思う。

 


そして繋がる、つい最近のお話。

 

つい最近(2018年秋)、夜の遅い時間に、「結婚相手は抽選で」という、ちょっとヘンテコなドラマがやっていた。ドラマのタイトル通り、「抽選見合い結婚法」という、結婚相手(お見合い相手)を”抽選”で決めるという法律を政府が決めたという設定の日本国が舞台のドラマだった。

 

ドラマはドラマで、それなりに面白かったので見ていたんだけれど、そのドラマに高橋優の楽曲が主題歌として使われていた、【aquarium】という曲だった。この【aquarium】という曲を聴いた時に、僕は高橋優に出会った時に感じた衝撃を、同じように感じた。

 

【aquarium】は、高橋優の新しいアルバム『STARTING OVER』の収録曲の一つなのだが、この【aquarium】という曲の衝撃が強すぎて、居ても立っても居られず、この曲だけレコチョクでダウンロードして聴いている。

 

こういうとき、便利になったって思うよね、アルバムの1曲単位でダウンロードすることができるから、こういう利用の仕方はありだなって、最近になって思えるようになった。

 


■【aquarium】の感想としては…

 

これは僕の想像を大いに含めるが、何となく先程紹介した【素晴らしき日常】という曲と、特にリンクしているような気がしている。

 

まず、何よりも、言葉をまくしたてるように歌うような激しい感じの曲調がとても似ている。特に、サビのメロディーがよく似ていて、優さんが意識しながら作ったのかなとか想像している。

 

それから、先述したように、『僕らの平成ロックンロール』が2009年発売、その次に、【素晴らしき日常】が収録されている、メジャー1枚目のアルバム『リアルタイム・シンガーソングライター』が発売になったのが2011年のこと。そして時が経ち、【aquarium】が収録されている新しいアルバム『STARTING OVER』が2018年に発売になった。

 


それらを踏まえて、【aquarium】のサビの歌詞を紹介したい。

 


あの頃毎日思い描いていた
10年後に笑う約束は
鏡の前で今ただ立ち尽くしている
この人に何を問いかけて笑うのだろう?

 


あの頃何度も思い描いていた
10年後に笑う約束を
今も強く握りしめたまま生きている
性懲りも無く明日を信じて生きていく

 

ここに出てくる”10年後”という言葉を、逆に辿って10年前を振り返ってみると、高橋優の名前が少しずつ全国に広まっていった時期に重なる。僕自身が高橋優を知った【駱駝】や【こどものうた】、そして、メジャーデビュー曲の【素晴らしき日常】などが発表されたのがその時期である。

 


素晴らしき日常】のサビにも、”笑う”という言葉が出てくる。

 


まだ笑うことはできるかい?
まだ歩くことはできるかい?
その通じ合っているような気がする人を連れて
愛し合う人の間から生まれてきた
僕らの明日が待ってる きっと世界は素晴らしい

 


また、リスナーの言葉に触発されて作られた【福笑い】という歌があるのだが(2011年発表)、この歌詞にも”笑う”が出てくる。

 


きっとこの世界の共通言語は 英語じゃなくて笑顔だと思う
子供だとか大人に関わらず 男だとか女だとかじゃなく

 


あなたがいつも笑えていますように 心から幸せでありますように
それだけがこの世界の全てで どこかで同じように願う 人の全て

 


【aquarium】という新しい曲、そして、【素晴らしき日常】や【福笑い】という曲…ここの隔たりが、およそ10年であるというところから、僕は勝手ながら、これらをリンクさせながら聴いている。

 

もう一度、【aquarium】の歌詞を読んでみる。先程の後者の歌詞である。

 


あの頃何度も思い描いていた
10年後に笑う約束を
今も強く握りしめたまま生きている
性懲りも無く明日を信じて生きていく

 

高橋優は、時には過激なことを歌いつつも(【こどものうた】とか結構過激)、きっと自分の歌によって、リスナーに笑顔になってもらえるように、ずっと歌ってきたはずだ。そういう10年という時間を、【aquarium】という歌で歌っているのだと想像している。

 

”性懲りも無く”という言葉もグッとくるね。自分の10年間を振り返った時に、きっと良い思い出ばかりの人は居ないだろう。というより、むしろ全然ダメで、自分の生活が何も変わっていないと思ってしまう人も居るかもしれない(この文章を打っているディスプレイの目の前に約1名…)。

 

それでも、そういう人たちにも寄り添えるように、”性懲りも無く明日を信じて生きていく”んだって、高橋優は力強く歌ってくれている。

 


■他にも、印象に残った歌詞を、少し紹介してみる。

 


はじめからそうなりたかったかと
聞かれたらなんて答えるの?
大海原を優雅に泳ぐ
フリをする水槽の魚のように

 

”水槽”という言葉で、タイトルを回収している部分である。”はじめからそうなりたかったかと 聞かれたらなんて答えるの?”という言葉は、とても胸にくるものがある。何か、面接とかで志望動機を答えさせられるみたいだね。

 



旅立ちの日の夜明けに
振り返る景色のその中に
後悔したことの一つ二つが
日々の彩りになるとは思わないか?

 

ここも頼もしい言葉だよね。”後悔先に立たず”という、すでに終わったことをいくら後で悔やんでも取り返しがつかない、という意味のことわざがあるけれど、確かにその通りではあるのだけれど、高橋優は、後悔したことも含めて、自分が歩いてきた人生だったと、力強く歌ってくれている。

 


などなど。紹介すると全部書いちゃいそうなので、この辺にしておく。何とこの歌は、フルで公式にアップされているので、良かったら聴いてみては。

 

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■誰が何と言おうと、僕は”歌”=”言葉”だと思っている。

 

歌詞かメロディーかという議論をしたいわけでは決してないし、2つ合わせて歌だということは重々承知している、と断った上で言わせてもらうならば、どんなにテクニックを磨いた演奏技術よりも、圧倒的な言葉(歌詞)の方に、僕はいつも心をつかまれる。

 

僕が聴きたいのは、少なくともシンガーソングライターの歌である。つまり、歌い手が自ら紡いだ言葉でなければ、胸に響いてこないと思っている。高校時代に、THE BLUE HEARTSの音楽に出会ってから、そう気づいた。

 

”言葉”は、人を喜ばせたり楽しませたりすることができる一方、傷つけたり、時には殺してしまうことだってできる強いもの。”言霊”という言葉があったりするけれど、まさにそう、人の魂や心がこもっているものなんだと思う。だから、”言葉”がちゃんと紡がれていない歌は、”心”のない歌に他ならない。

 

だから、高橋優の歌を聴いて、これは本物の歌だ、と思った。

おじさんの音楽レビュー#30 『WHALE LIVING / Homecomings』

WHALE LIVING

【WHALE LIVING / Homecomings】

 

<収録曲>
01. Lighthouse Melodies
02. Smoke
03. Hull Down
04. Parks
05. So Far
06. Corridor(to blue hour)
07. Blue Hour
08. Drop
09. Whale Living
10. Songbirds

 


■Homecomings(ホームカミングス)というバンドは、これまでは英語詞の歌を歌うバンドだった。

 

決してボーカルの英語の発音がうまいというわけではなく、英語を棒読みしているだけのような感じだったけど、まぁそれはそれで、良い雰囲気を出していたと言えたと思う。良い曲もたくさんあった。

 

しかし、今回のアルバムでは、1曲を除いて、全編を日本語歌詞で歌うという試みをした。具体的には、最後の【Songbirds】以外は、全編日本語詞の歌になっている。

 


個人的には、この方向性については…大賛成なんです。

 

これは全く個人的な好みなんだが、いつからか、純正の日本のバンドなのに、英語詞で歌を作り歌うバンドに、あんまり興味を示さなくなった。もちろん例外もたくさんあって、ネイティブと何の遜色もないくらい上手な細美さんだったり、ワンオクやドロスのボーカルもずっと上手だと思っている。他にも、決して英語は上手とは言えないけど、好きなバンドは居るんだけど、あえて選んでは聴かなくなっていた。

 

その理由はとても単純で、僕自身が、歌詞を読みながら、これはどういう歌なんだろうって、色々と想像しながら聴くのが好きだから。英語詞の歌を聴いても、その意味が簡単には入ってこなくて、結局は和訳を読みながら聴くという、せっかく英語詞で書かれた歌なのに、その魅力を感じないというか、何か二度手間になっているような気がしていた。

 

だから、これはHomecomingsに限ったことではないんだけど、日本語歌詞には無条件で大賛成なんです。日本語はきれいだし、何より母国語だから、当たり前だが一番馴染むからだ。

 

Homecomingsが日本語歌詞でアルバムを作るという情報を、アルバム発売前から予め嬉しかったけど、作品を買って実際に聴いてみても同じ感想を抱いた。ほら、やっぱりこっちの方が良いじゃん!って。

 


※余談だが。

 

レコードショップでこのアルバムを買おうとレジに持っていったら、レジ係の男子店員がHomecomingsのファンらしくて、「ホームカミングス良いですよねー。僕も好きなんですよ」と、珍しく話しかけてきた。

 

嬉しかったので、今回のアルバムが日本語詞で作られたものだという話題を吹っかけてみたら、相手が食いついてきたので、こいつは営業じゃなくて、本当に好きなんだなって思った笑 短時間だったけど話ができてうれしかったぜ。

 


■さて、アルバムの紹介・感想。

 

曲調としては、ゆったりとした曲が多いので、そこまで盛り上がるところは無いので、退屈と言えば退屈かもしれない。まぁ、Homecomingsの魅力は、そういうところに元々あったし、ゆったり浸るにはちょうどいい一体感を作っている。

 

個人的には、今回のアルバムの曲ではないけれど、【I want you back】とか【Hurts】とか、ノリノリで結構好きなので、あれくらいのテンポの曲が、もっと聴きたいところだったけど。

 


今までのアルバムは、一曲一曲が短編小説のように収録されていたのに対して、今回のアルバム『WHALE LIVING』は、アルバム一枚でひとつの物語が語られているような作品になっている。

 

そういう意味でも、冒頭で紹介した日本語歌詞の試みは作品に合っていると思う。ちゃんと物語を伝えるためには、やっぱ母国語でしっかり書いた方が、読んだ方もそれに浸ることができる。ゆったりとした曲が多いのも、その物語を丁寧に伝えることに特化しているのかもしれない。

 

だから、このアルバムを聴くときは、どんな物語が語られているのだろうって、自分なりに想像しながら聴くのが醍醐味だと思うし、そういう風に作られている作品は、自分としても好きなので嬉しい。そういう意味では、今までのHomecomingsにはない感覚で聴くことができる作品になった。

 


■アルバムタイトルであり、表題曲にもなっている、”WHALE LIVING”という言葉については、収録曲の歌詞の随所に表れる言葉では、”くじらのすみか”という訳し方が良さそうである。

 

INTERVIEW01 – WHALE LIVING

 

Homecomingsが語る最新作『WHALE LIVING』に込めた思いと制作時期に影響を受けた楽曲5選|特集|POPLETA

 

インタビューの中で、この”WHALE LIVING”という言葉について、作者の福富さんは、このように語っている。

 


福富さん「手紙を書いても出さないときってあるじゃないですか。読み返すと恥ずかしくなって出さずに部屋の引き出しにしまっている手紙とか。僕はあるんですけど、そういうのって結局伝わるようにも思ったんです。実際に出してはないし、相手に届いてもいないけど、なぜか言いたかったことや気持ちが伝わる――そういうことってよくある気がした。その背景を膨らませていったなかで、〈WHALE LIVING〉という場所が海の底にあり、郵便局じゃないですけど、そこを介して気持ちが届いているみたいなイメージをしたんです」

 

何か分かるようで、難しい、独特な設定だけど、だからこそ聴いた人が色々と想像できる余地があるのかもしれない。

 


個人的にも想像した物語としては、まず物語の舞台は「海沿いの街」を思い浮かべた。アルバムの中にも、随所にそういう場所を表すような言葉が出てくる。その街では、かつて”僕”と”君”が暮らしていたんだけど、理由はともかく、2人は離ればなれになってしまう。おそらく、”君”の方が、街を出てどこか遠くへ行ってしまったんだろうと思う。

 

何ていうか、2人で過ごした街を離れた”君”も、また同じように海沿いの街で暮らしていて、同じ海が2人を繋げているような、そういうイメージでこの物語を読んでいる。

 

そんな、離ればなれになった2人について、”僕”目線で”君”のことを想いながら暮らしているという様子を、このアルバム全体で歌っている、というような物語を想像している。

 

そして、離ればなれになった2人が、どうにもお互いに伝えることが出来ない想いが、静かに眠っているような場所を”WHALE LIVNG”という言葉で表わしているという感じかな。何ていうか、お互いに何か思い入れがあったのかもしれない同じ海に、時々ふっと一人でやってきては、会話をするように海に気持ちを吐き出すのかもしれない。ここに居ない、その人に向けて。

 

あるいは、”手紙”というフレーズが随所に表れるが、ボトルシップみたいに、海に手紙を流したのかもしれない。それは決して、相手に届くことはないけれど、”WHALE LIVING”という場所に溜まっていって、2人の手紙が会話をしているのかもしれない。

 


■ということで、全部は大変なので、印象に残った曲だけでも紹介しつつ、物語についてしゃべってみる。

 

01. Lighthouse Melodies

 

インタビューの中で、作者の福富さんが、この曲について、ゲームのMOTHERの中で使われている【Eight Melodies】との関連を語っていて、とても嬉しかった。僕自身も実は、ゲームのMOTHERシリーズ(1~3)は、定期的にやり直したくなるほど好きで、ゲームをする習慣がほとんどなくなった今でも、手元に残っている数少ないゲームのひとつである。

 

【Eight Melodies】は、ゲームの中では、子守唄という設定でもあるんだけど、そのイメージを思いながら、【Lighthouse Melodies】を作ったのだという。波が寄せて返すような音がバックで聴こえてきて、どこか知らない場所へとイメージが飛んでいく。鉄琴の音(?)とコーラスとボーカルという、シンプルな構成。

 

アルバムの中だったら、本の表紙的な曲になっている。早速、アルバムタイトルにもなっている”Whale Living”を表わす”くじらのすみか”という言葉も出てきていて、今から物語が始まっていくような雰囲気を作っている。

 


02. Smoke

 

1曲目でゆったりとしたところからの、【Smoke】の入りが好き。何か、一気に物語が始まっていくみたいな感じ。この曲自体もゆったりとしているけれど、アコギの音がすごく心地がいい。

 

この歌(というよりアルバム全体)の物語には、”僕”と”君”という必要最低限のキャラクターしか出てこないので、その二人の物語として自然に読んでいくことが出来る。

 

このアルバムの中の”僕”と”君”は、何らかの理由で離ればなれになっており、終始”僕”が”君”のことを想っているような形で物語が進んでいく。その離ればなれは、決して暗いようには感じないし、”僕”も前向きに生きているように読めるけれど、それでも時より、寂しさをにじませている。

 


忘れないように
ここにずっと書いておくけど
口ずさむ君がいなくなったら
煙の中で消えてしまう

 

”僕”と”君”をつないでいた、特別な歌があったのだろうか。2人で一緒に聴いた記憶、一緒に歌った記憶、そういう思い出を胸に秘めたまま、離ればなれの2人の日々が続いているという想像が膨らんでくる。

 


05. So Far

 

アルバムの中では、一番長い曲で、ボーカルの畳野さんの弾き語りの曲になっている。

 

タイトルの”So Far”、意味は二つあって、「これまでのところ」という意味と、「とても遠い」という意味。どうやら、前者の「これまでのところ」の方が、ネイティブには使われることが多いようだけど、この曲と、アルバムの物語に当てはめるとすると、後者の「とても遠い」が似合うような気がする。

 

ここで、少し気になる表現があって、

 


君に輪っかが
浮かんでたんだ
僕にはないからさ
喋ってごまかしたんだ

 

ここの輪っかって何だろうって考えた時に、その一つとして、”天使の輪っか”が思い浮かんだ。ということは、”君”は、もうこの世に居ない”故人”なのかなっていう想像もできた。だから、離ればなれになった理由としては、悲しいけれど”死別”も考えられるかもしれない。だから、手紙が届かないのも、そういう悲しい理由があったのかなって。

 

まぁ、あくまで極端な想像なので、あんまりこの解釈を当てはめて聴いているわけではない。

 


07. Blue Hour

 

この曲は、アルバムの発売に先立って、MVが前以って発表されていたので、アルバム発売前にも聴くことができた曲だった。

 

この曲だけ聴くと、あんまりイメージが膨らんでこなかったんだけど、アルバムの流れで聴くと、ああこういう曲だったんだなって、気付くことができるのも楽しいところだった。

 

”Blue”という言葉は、少しブルーな気持ちになっているという様子を表しているのと、時間的には、夜に差し掛かって少しずつ暗くなっていく夕方か、あるいは、少しずつ夜が明けていく朝方を思い浮かべた。そういう、どこか気持ち的に切なくなるような時間に、やはり”君”のことを想い出しているという状況かな。だから、”Blue”というよりは、”藍色”みたいな深い色を思い浮かべた。

 


秘密が言葉を漏らしたなら
散らばった
文字が浮かび出した

 

目をつぶって開いたら
僕らは寂しいまま?

 

何ていうか、寂しさを隠すように、ごまかすように暮らしているんだよね、この物語における”僕”は。気丈に振舞って、前向きに暮らしていかなくちゃって。自分の心の中に、隠すようにそういう閉じ込めていても、時々そこからにじみ出て溢れてくる寂しさ。そういうものと対峙しているような歌だと思う。

 

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09. Whale Living

 

このアルバムの表題曲。先述したとおり、”くじらのすみか”と訳すのが良さそうだが、実際にくじらが暮らしている場所なのではなく、2人の想いを繋げているような場所の象徴として、この作品の中では扱われている。

 


暖かな秘密の場所は
小さな家具
海の底
どこかであの手紙がふいに届くように

 

まさしく、この辺りがこのアルバムのすべてを象徴しているフレーズのように思える。お互い、手紙を出すことも照れくさくて、でもどこかで繋がっていて、確認し合うことはないけれど、同じようなことを考えているような気がしている、みたいな、何ていうか、第六感的なもので繋がっているのかもしれない。

 


10. Songbirds

 

アルバムの中で、唯一の英語詞の歌。散々、日本語がいいなぁと言ってきて、矛盾しているかもしれないけれど、結局は最後のこの曲がアルバムの中で一番好きだったりする。歌詞というよりは、Homecomingsの、これくらいのテンポの曲が好きだな。

 

リズと青い鳥』という映画の主題歌に選ばれて、アルバムの発売前にシングル曲として発表された。その時は、そんなに特別な曲には思わなかったけど、アルバムの最後に入っているのを聴くと、また雰囲気が違って聴こえる。

 

それは、ずっと言っている物語の一部として、新しい気持ちで聴くことが出来たからだ。インタビューの中でも、この曲を作ったことで、新作のモードに切り替えられたとあるので、ひとつの物語の始まりと言うか、まとめみたいな感じになっていると思う。

 


By making it a song,
Can I keep the memory?
I just came to love it at the time.
(歌にしておけば
 忘れないでおけるだろうか
 あの瞬間に好きになったことを)

 

ここの部分は、2曲目に紹介した【Smoke】に出てきた詞に繋がるものがあると思う。

 

2人の関係はどうだったんでしょうね?恋人同士だったのか、それとも、お互い気にし合っているけど、一歩その先に踏み出すことが出来なかった、親しい友達だったのかな。その辺りは、やっぱり聴いた人の想像ということなんだろうね。

 

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おじさんの音楽レビュー#29 『話がしたいよ / BUMP OF CHICKEN』

話がしたいよ / シリウス / Spica (初回限定盤)(CD+DVD)

【話がしたいよ / BUMP OF CHICKEN

 

■最近、BUMP OF CHICKENの活動が、とても活発になっている。

 

おそらく、もうすぐアルバムが出るのだろうけど(今年はもう無いかな、そうなると来年は確実だろうな)、もうその収録曲をほとんど出し尽くしたんじゃないかってくらい、新曲リリースのラッシュが続いている。

 

ちょっと列挙しただけでも、おそらく、

 

リボン 記念撮影
シリウス spica
pathfinder 望遠のマーチ
話がしたいよ 月虹
(流れ星の正体)
(PFで藤原が弾き語ったらしい新曲)
※追記 アリア アンサー 忘れてた…

 

辺りはきっと入るんじゃないかな。括弧付きの曲は、もしかしたら入らないかもしれないけど、他は多分入ると思う。今回のライヴツアーは、いわゆる”引っさげないツアー”だったので、こんなに曲が溜まっているのかな。

 


■何か、毎回BUMPの記事を書く度に言っていることなんだが、アルバム『RAY』の後あたりから、BUMPの音楽・作る歌が、自分にあんまりヒットしなくなった。それは、とても寂しいことだけど、何だかんだ、毎回新曲はチェックするし、今回もこうやって記事を書いているし、これからもシングル(デジタルはあんまり好きじゃないから、ちゃんと円盤で出してくれ)やアルバムは買っていくと思う。

 

何だかんだ、BUMPはずっと好きなんだなって思う。

 

先日、【話がしたいよ】という新曲のデジタルシングルが発売され、同曲のMVが発表されて聴いた。これが、とてもいい曲だった。久しぶりにいい曲だなって心の底から思った。こういう曲が、たまに出てくるから、BUMPのファンは辞められない。

 

ダウンロードについては、どうせ11月にシングルが発売になるので、今回はちょっと見送って、MVばっかり見てこの曲を楽しんでいる。

 


■今日は、その【話がしたいよ】について話をしようと思う。

 

この曲は、『億男』という映画の主題歌になっている。最近のBUMPの新曲は、何かしらのタイアップがつくことが通例になってきた。映画も面白そうなので、ちょっと興味が湧く。

 


その主題歌、【話がしたいよ】。とてもいい曲だと思った。

 

曲の感じは、バラードではあるんだけど、演奏や藤原さんのボーカルがかなりエモーショナルなので、ゆったりとした曲調とは裏腹に、とても派手に聴こえる。これまでの曲だと、【友達の唄】とか【コロニー】に似ているかな。それらより、派手には聴こえるかもしれない。

 


BUMPの曲を聴くときに、僕が一番楽しみにしながら聴くのは、やっぱり藤原さんの書く詞である。藤原さんの書く詞は聴くものであると同時に、”読み物”であると思う。それは、今回の【話がしたいよ】の歌詞も変わらなかった。

 

歌っている内容としては、”君”が居なくなって、独りになった”僕”が、”君”の居ない日常に取り残されたような感情に苛まれ、何気ない日常の風景を眺めては、もし君が居たらどんなことを話すんだろう、話がしたいよ、という感情を吐露しているという内容になっていると思う。

 

こう言うとなんだけど、一緒に居ることはもちろん大事だとしても、藤原さんにとっては、会えない時、一緒に居ない時、その人のことを想っていることも同じくらい大事に思っているということなんだと思う。

 

まぁ、思い返してみると、こういう歌を藤原さんは度々書いてきているから、そんなに大それた題材では無いような気はしている。まぁ、要するに、散々書いてきて使い古されたような題材なんだよね。でも、そこに藤原節が効くと、同じテーマでも、曲ごとに全く違う印象を受ける。

 


■ちょっと、歌詞をなぞりつつ、感想を言ってみる。ちなみに、YouTubeの動画にすでに、公式が歌詞を載せてくれているので、ありがたい。

 



持て余した手を 自分ごとポケットに隠した
バスが来るまでの間の おまけみたいな時間

 

街が立てる生活の音に 一人にされた
ガムと二人になろう 君の苦手だった味

 


ガムを紙にぺってして バスが止まりドアが開く

 

前者は曲の冒頭の歌詞で、後者は曲の終わりの歌詞である。個人的にも、一番印象に残っているが、この歌を象徴しているものとして、”バス”と”ガム”という言葉が出てくる。

 

MVのように、実際に藤原さんがバスを待っている時に、この詞を思いついたのかは定かではないけれど、”バスが来るまでの間”に”僕”が物思いにふけっている光景は思い浮かぶ。

 

この歌の中の、”バス”という言葉の役割はなんだろうか。まずは、日常の風景の象徴として使われていると思う。人々の生活に欠かせないものの一つである”バス”を書くことで、しかも感情も持たない無機質なものだから、歌詞の中のフレーズを使えば、”街が立てる生活の音に 一人にされた”を表現しているのだと思う。

 

あとは、”バス”はどこか遠くへ行くための手段の象徴でもある。何ていうか、大げさに何処か遠くへ行くような歌ではないのだけれど、この歌の内容として、どんな別れの形かは置いとくとして、”君”が居なくなっている状況があって、それを”僕”が(受け入れがたくとも)受け入れて、そこから離れていくということを、”バス”が比喩しているとも考えられる。

 


それから、”ガム”について。冒頭では、”ガムと二人になろう 君の苦手だった味”と歌われているが、これは、要は居なくなった”君”を近くに感じたい、という”僕”の感情の象徴だと思う。

 

”ガム”の味は分からないけど、”僕”と”君”には、苦手な味のガムについて、何か特別な思い出があるのかもしれない。そんな、特別な思い出を、”ガム”だけに噛みしめたかったのかもしれない。

 

そして、最後は”ガムを紙でぺってして”という歌詞、独特で面白いんだけど、これも先ほどの”バス”の話と同様、君が居なくなった状況の受け入れようということの比喩になっているのかもしれない。

 



ボイジャーは太陽系外に飛び出した今も
秒速10何キロだっけ ずっと旅を続けている

 

BUMPファンには、見逃せない歌詞だよね。BUMPはかつて、アルバム『orbital period』で【voyager】(ずばり、ボイジャーと読む)という曲を発表した。もうそれが、10年以上も前になるんだよね。

 

曲のつながりは不明だけど、こういう”昔の曲のかけら”を新しい曲に散りばめる感じは良いよね。

 

ちなみに、現在のボイジャーはというと、2016年の時点で、1号機が太陽から約205億2500万km(137.201AU)離れたところを飛んでいたらしい。1977年に打ち上げられて、40年以上も宇宙を飛んでいることになる。それはそれはとても遠くにあるんだろうなってことは理解できるんだけど、このままのスピードで進んでも、太陽系に一番近い恒星に到達するまでは、約8万年かかるという…8年じゃなくて8万年ね、途方もないね。

 

あと、ボイジャーの電力は、2025年くらいまで持つんだとか。

 



体と心のどっちに ここまで連れて来られたんだろう
どっちもくたびれているけど
平気さ お薬貰ったし
飲まないし

 

自分の中で、一番グッときたのは、ここの歌詞だった。まぁ後半は、半分ネタみたいなもので、「おい藤原、もらったんなら、ちゃんと飲まないと!」とツッコミたくはなったけど。

 

”体と心のどっちに これまで連れて来られたんだろう”、ここが本当に、この歌を聴いていて、個人的なハイライトだった。

 

要は、自分が思うように、ちゃんとここまで来られたのだろうかと、自分の歩みを振り返っているんだろうけど、こういう書き方ができるのは、本当に藤原さんだなぁて思う。”体”と”心”を、別の生き物のようにきっと見ているんだろうね。”体”に”心”が宿っているんじゃなくて、両方に別々の意思があるみたいに。

 


■そして、サビの歌詞。

 


この瞬間にどんな顔をしていただろう
一体どんな言葉をいくつ見つけただろう
ああ 君がここにいたら 君がここにいたら
話がしたいよ

 

一番印象に残った、かつ分かりやすいところを紹介したい。”この瞬間”とは、おそらく日常の何気ない風景を指しているのだろう。そういう何気ない風景を、もしも”君”と二人で見られたら、”君”は何て言うんだろう、”僕”は何て言うんだろう、話がしたいよ、とこういう感情を吐露している。

 

ところで、”君”と”僕”は、どういう形で別れたんだろうね。例えば、一番悲しい別れの形だと、”死別”というものがある。もしそうならば、永遠に会えない君のことを想っているという、とりわけ悲しい物語が出来上がる。

 

…まぁ、個人的にはあんまり”死別”っぽくは思わないので、違う別れの形を想像しようとしている。藤原さん的にいうならば、「歌はリスナーに届いて完成する物」だから、ここら辺の想像は、僕らが勝手に物語をくっつけていいんだと思う。

 


僕個人的な思い出を語らせてもらえるならば…

 

バスやガムは全然関係ないんだけど、大学の時、好きな人が居て、その人と川べりの階段みたいなところや公園のベンチに腰かけて、夜中~朝まで(大げさでも何でなく、十時間以上も)話をするのが日課になっていた。それが来る日も来る日もだったから、大学の講義をサボったりしたこともあった…のは内緒。

 

朝方になってようやく、今日は帰るかってなって、じゃあねってした後の、何とも言えない寂しい時間ね。まさに、”街が立てる生活の音に 一人にされた”状態だったね。街はもうすっかり、今日が始まっていて、人々の営みが始まっていて、その中を逆走するように、自分のアパートに帰っていく時の寂しさね。何とも言えない背徳感というか、されど高揚感も感じつつ。

 

…何か、そういうことを、急に思い出した。おじさんにも、そういうことがあったんだよ苦笑

 

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