人はいくつも選びながら生きている

ロストマン/sailing day

ロストマン / sailing day】 

 

■何げなーく、ツイッターを眺めていたら、BUMP OF CHICKENのベースのチャマさんが、9/20につぶやいた内容に辿りついた。

 

そのつぶやきによると、今年(つまり2015年)の9月20日に、BUMPはメジャーデビュー15周年を迎えたようである。ここでいうメジャーデビューとは、15年前(2000年)の9月20日に、メジャーデビューシングル『ダイヤモンド』を発売した、という意味だ。

 

そうか、15年かぁ、もうすっかり、ベテランとか大御所とか、そういう通り名が似合うようになったんだなぁ。藤原さんも増川さんもチャマさんも、ずっと若いままだからね…あ、あと升さんも(小声)…なおさら、若いバンドのように、今でも思う。でも、もうみなさん、30代の折り返し地点を越えているだよな。

 


BUMP OF CHICKENの話をすると、本当に止まらなくなるので、少し話題を絞って、出会いの話をしましょう、そうしましょう。

 

…と言っても、白状すると、最初に出会ったときはBUMPにはまらなかった。高校生の時に、シングル『天体観測』が爆発的にヒットしたんだけど、一応は僕もそれを聴くことになるんだけど、そこまではまらなかった…というか、むしろ、変な歌だな、とさえ思っていた。

 

そんなこんなで、藤原さんと増川さんの見分けすらつかないまま、BUMPとの出会いは幕を閉じて、そのまま通り過ぎていったのだった。

 


■そして、時は流れた。

 

僕は大学に通うことになり、地元を離れ、親元を離れ、初めての一人暮らしを始めていた。そんなある日のことだった。

 


確か、レンタルビデオショップに居た時だったと思う。ひょっとしたら、〇ダルトコーナーに居た時かもしれない、とこっそり思い出しているのは内緒。

 

有線か、それとも、店員さんの選曲か分からないが、店内には音楽が流れていた。”その歌”は、なんか癖のある声と、耳に残るメロディーだった。その歌の名前は、残念ながらその時は分からなかったが、なぜかずっと耳には残っていた。

 

そして、家に帰って、カウントダウンTVを見ていた時だったと思う。その時に聴いた曲が流れてきた。あ、そうそう、この曲だった、と、すぐ思い出すことができるほど、耳に残っていたんだと思う。改めて聴いて、あぁ、この曲いい曲だなぁ、って思った。

 

その曲こそ、BUMP OF CHICKENの『ロストマン』だった。BUMP?あぁ、あの『天体観測』歌ってた人だ、なんかえらい雰囲気変わったな、って思った。そして、近日にはもう、レンタルショップでCDをレンタルしていた。

 


■その『ロストマン』を何度も何度も聴くことになるわけです。大学一年生、一人暮らし、初めての町、変わっていく人間関係…それらに迷いそうになっている僕の背中を、何度も何度も押してくれた。

 

”状況はどうだい? 僕は僕に尋ねる”

 

こんなフレーズでこの曲は始まるのだが、まさにこれは、その時の自分そのものに歌われているような気がした。状況はどう?うまくやってるのか?と。

 


■この歌について、僕なりの解釈を少し述べておく。

 

この歌の中には、”僕”と”君”という、二人の登場人物が出てくる。二人の別れの場面だろうか、僕が君に別れを告げる描写が、何度も出てくる。

 

最初、僕はその歌詞通りに読んで、”僕”は、恋人か友達か、とにかく自分にとって大切な人、”君”に別れを告げているのだと思っていた。しかし、どうも何度も聞いてきた限りでは、”僕”=”君”なんだと解釈をするようになった。

 

つまり、”僕”が別れを告げているのは”僕自身”なんだということだ。

 


どんな人生を選ぶのか、どんな生活を歩いていくのか、人には一人一人、たくさんの選択肢があって、その中から、人はいくつも選びながら生きている。

 

その選択肢の中には、例えば、無難な生活を約束される選択肢もあれば、困難な夢を追いかける選択肢もあるだろう。とにかく、色んな選択肢がある。自分が無難に生きるのがいいのか、それとも挑戦し続けることがいいのか、それらの中から、選ぶことになるわけだ。

 

ロストマン』の中に出てくる”僕”と”君”は、それぞれが別々の選択肢を選んだ自分自身なんだと思う。両者とも、自分自身ではあるんだけど、歩もうとしている選択肢が違っているわけだ。

 

おそらく、”僕”の方が、その時のリアルタイムの藤原さんだったのだと思う。もしかしたら、本当にバンド一本で生きていくのか、迷っていたのかもしれない。だとすると、そんな自分の心の迷い(=”君”)に、この曲で別れを告げたのかもしれない。

 


間違った旅路の果てに
正しさを祈りながら

 

自分が選んだ道は、間違っているかもしれない。でも、分からないよね。僕はこの道を選んで歩いていくよ、いつまでも正しいと信じながら。

 


■これは後に知ることになるわけだが、藤原さんは『ロストマン』の歌詞を完成させるのに、9ヶ月も費やしたそうだ。9ヶ月も、同じ歌の歌詞を考えるなんて、並大抵のことじゃないだろうし、だからこそ、この歌には他の曲とは一線を引いて、言葉の力を感じる。

 

よく、この曲の歌詞は”5分で書けました”だとか、”言葉が降りてきた”だとかいうことがある。まぁ、それはそれですごいことなのかもしれないが、長い時間をかけて、悩み、迷い、書いては消して、繋げては離して、また繋げて、そしてようやく完成へと漕ぎつけた、この歌の方がよっぽど人間臭くていいなって、僕は思う。

 


そんな、まさに満身創痍で書き上げた、名曲『ロストマン』。そこから、僕とBUMPの長い付き合いがはじまったわけだ。たくさんの思い出が思い出されるが、それは、またいつか別のお話で、ということで。

 

乗り遅れちゃったけど、BUMP OF CHICKEN、15周年おめでとうございます!