ちゃんとさよならしたんだね、自分たちを守るために

SUPER BEAVER

【SUPER BEAVER】

 

■僕がSUPER BEAVERを知ったのは、2010年あたりだった。記憶も曖昧なので、調べながら、思い出しながら、書いている。とりあえず、2010年あたりまで、時間をさかのぼる…。

 

(かなりかなーりかなーーーり、前置き、脱線が多くなっているが、許してください。気が付けば、書き切るのに、4時間くらいかかってしまった。それに比べると、きっと読み切るのは早いよね!)

 


2010年4月3日、”ソラニン”という映画が公開された。この映画は、漫画が原作になっているわけだが、最初は僕は、その漫画の存在自体すら知らなかった。しかし、結果的に、この映画を映画館に行って見るわけだ。その話の簡単な流れは以下の通り。

 

当時の僕は、”ソラニン”という漫画の存在すら知らなかった。

ソラニン”という映画が公開になるということを知る。(公開前)

(予告を見て…)あぁ、宮崎あおいちゃんが主演なのかぁ、しかも、あおいちゃんが歌ってるぞ、かわいいなぁ。

お、この映画はどうやら漫画が原作らしいなぁ、何々…あ、全2巻なんだ、読んでみようかな…と、ジャケ買い、読む。おお、なかなか面白いじゃないか。(もう映画は公開になっている)

映画を見に行こう!あおいちゃんを拝みに行こう!あおいちゃん!

 

という流れである。

 


(補足として言わせてもらうと、僕は漫画原作の映画というものは、あまり好かない。原作が大好きだったから、一応見た、ということもあるかもしれないが、〇世紀少年、〇生獣、〇宙兄弟、〇ANTZ、〇スノートなど…正直、うーんって感じだった。良いのもあったよ、ALWAYSシリーズとか、カイジとか、ね。

 

せめて僕は映画を見るときは、必ず原作を知った上で見たい、と思うような人間だ。小説であれば、原作を読破した上で、長いマンガならば無理だけれど、それを読んだ上で、映画を見たいと、なるべくなら見たいな、と思う人間だ。”ソラニン”もそういう思いが働いた。映画を見るのは、まずは原作からだなって。)

 


■とにかく、”ソラニン”という映画を見るわけだ。急ごしらえで原作を読んだ自分だが、映画の出来は良かったと感じた。根本的に、ちゃんとキャストが歌ってるのがいいよね、バンドの映画だもん。(〇ECKなんか、ひどかったし。なんだありゃって、映画館で噴き出したもん。)

 

テナーのホリエさんのソロプロジェクト「ent」が担当した劇中音楽も素晴らしかったけど、その音楽の中でも、やはりメインとなるのは、物語の核を握る【ソラニン】という歌。この歌は設定上は、物語の主人公の一人である、ロックバンド「ROTTI(ロッチ)」のボーカルの種田がつくった歌とされているが、映画化するにあたって、漫画の中に出てくる歌詞に、ASIAN KUNG-FU GENERATONがメロディーをつけて生まれた、ちょっと変わった歌である。

 

素直に、いい歌だと思った。そして、映画を観終わったその足で、CDショップに行って、そのシングルを購入した。アジカン名義の【ソラニン】である。(ちなみに、映画の熱がとれて冷静に聴いてみると、【ムスタング】の方がいい曲だなって思うようになった、笑)

 


あぁ、映画も歌も、ソラニン良かったな…ということで、これにて終わり、チャンチャン…とはならなかった。どうしても、映画の中で気になる部分があったのだ。

 

この映画は、最後にROTTIがライヴで、種田のつくった歌【ソラニン】を演って物語が終わっていくんだけど、その【ソラニン】のライヴシーンの前に、ほんの少しだけ、別の歌のライヴシーンが流れる。その歌が、映画を観終わった後も、頭の中にずっと残っていた。あの歌は、何なんだ、と。

 


■後に発売されたDVDには、特典としてライブのフルバージョンが収録されているらしいが、その時はほんとに少ししか流れなかったので、自分の中で”謎の名曲”として、むくむくと期待がふくらんでいった。なんか、自分だけが見つけた感に浸ってたんだろうな、本当は全然そんなことないのに。

 

そして、そこで調べてみた結果、その歌が、「SUPER BEAVER」というバンドの【ささやかな】という歌だった、ということを知るのだ。

 

(ようやくここで、SUPER BEAVERが出てきたわけだが、前置き長くなって失礼しました。ソラニンという作品自体も好きなので、それについても話したかったのでね。)

 

僕が、SUPER BEAVERというバンドを知ったのは、ここが初めてだった。

 


■スーパーなビーバーという、何となくおかしな、でもロックを感じるバンド名に、まずひかれた。ちなみに、このバンド名でのBEAVERの意味は、動物のビーバーだということらしいが、BEAVERには他にも、スラングで別の意味があり、それを知っていた僕は、大丈夫かこの名前?と思っていた。(詳しくは、自分で調べてみるか、えらい大人にたずねてみよう!)

 

とにかく、最初はその【ささやかな】という歌の本家フルバージョンが聴きたかったので、それが収録されているアルバムを買った。それが、バンド名を冠したアルバム『SUPER BEAVER』だった。

 

当時の僕は、バンド名を冠するアルバムって、何となく珍しいなぁ、ってほどにしか思わなかったが、(後述するが)この名前にもちゃんと意味があったんだなぁ、と知ることになる。

 


■聴いてみての感想…すごくすごくすごくすgokuuuuu…かっこいい!

 

僕は、こういう感じのバンドしか聴かない…っていうこだわりはあまりないんだけど、ただ一つこだわっていることと言えば、それは日本語がちゃんと伝わってくるか、というところだ。日本語の面白さ、日本語の不思議さ、そして特に、”日本語が持つ言葉の強さ”だ。

 

日本語の歌、と言っても、色んなのがある。もう直球ど真ん中で言葉を伝えてくる歌、カーブやスライダーのように少し角度を変えて言葉が入ってくる歌、あるいは、魔球のようにどこから入ってくるのか捕えがたい言葉の歌。

 

このうち、SUPER BEAVERの歌は”直球ど真ん中で言葉を伝えてくる歌”の代表格だと思った。それは僕が昔、THE BLUE HEARTSを好んで聴いていた時に受けた衝撃と同じだった。逆に言えば、僕が一番長く聴いている、スピッツとは少し違う衝撃だった。どっちが強いとかじゃない、あくまで種類が違うって感じ。

 


まず、【ささやかな】という歌、これは言わずもがな素晴らしかった。ROTTIバージョンよりも、とても力強さを感じた。

 

このアルバムの中で、僕が特に好きな曲は、【空の彼方】と【まわる、まわる】という歌である。

 

【空の彼方】という歌は、実はこの歌も、メンバーが”ソラニン”にインスパイアされてつくられた歌だそうだ。この歌こそ、”ソラニン”になっていればよかったのにな、と思うほど、ぴったりの歌だと思うし、きっとこの頃のバンドメンバーの気持ちにもリンクしていたのだろう。それを知って改めて聴くと、心がぎゅっとしめつけられる。

 

【まわる、まわる】という歌。この歌は、本当に底知れぬ力を持っている。本当に、言葉の力に圧倒されてしまう。言葉が、まるで洪水のように、心になだれ込んでくる、そんな歌である。この歌は、カラオケに配信されているため、よく歌わせてもらっている、実は十八番だ、笑。

 

他の曲も最高。とにかく、最高な一枚だ、みんな聴いてみて。言葉の力を信じている人には、どっぷりそれに浸れると思う。

 


というきっかけがあって、SUPER BEAVERは、とても好きなバンドのひとつになった。他のアルバム・シングル作品のことも書きたいけど、この記事では割愛させていただきます。どの作品も同様に、”言葉の力”が伝わってくる。

 


■もうちょっと書きます。

 

今回、SUPER BEAVERの記事を書きたいと思ったのが、ボーカルの渋谷さんのブログを読んで、とても感銘(あまり、よい話ではないのかもしれないので、感銘とはふさわしくないかもしれませんが)を受けたのがきっかけだ。そのブログはここにあります → https://t.co/2ntvbZTndM

 

といっても、ブログはかなり長いので、簡単にどういう話かと言うと(本当は全文を読んでみてほしいが…)、


メジャーデビューしたSUPER BEAVERであったが、周りの”オトナ”たちにバンドを私物化されて、音楽への情熱や楽しさ、というものを見失ってしまう。その結果、一時は音楽すら辞めてしまおう、というところまで至ったが、その思いを別の原動力に変えて、続けていくことを決意した、という、バンドの”死”と”再生”の物語、である。

 

 

少しだけ知ってはいたが、今回はより具体的に、その物語を知ることができた。状況はかなりシリアスではあったんだろうけど、渋谷さんの独特なタッチの文章が、それをちょっとだけ笑いに変えてくれた。

 


■SUPER BEAVERは、一時メジャーレーベルに籍を置いていたが、色々あって、そこから離れてしまう。で、その離れる時に、最後に自分たちの作りたいものをつくってごらん、ということでつくられたのが、先述した『SUPER BEAVER』というアルバムだったのだ。自分たちのバンド名を冠したのも、こういう状況があったからなんだなって、今回僕は初めて知った。

 

(脱線するが、何となく、スピッツのアルバム『ハヤブサ』に似ているなぁって思った。エピソードは全然違うけど。)

 

前々からそうだけど、メジャーの時に発表された曲の中でも、アルバム『SUPER BEAVER』に収録されている楽曲は、本当に鬼気迫っているというか、なんかそういうものを感じた。それも、先述のようなことがあったからだったんだね。

 


そういうことで、改めて、『SUPER BEAVER』というアルバムを聴いている。このアルバムはSUPER BEAVERというバンドの、本当の意味でのはじまりだったんだな。そして、このアルバムに収録されている【空の彼方】の、こんなフレーズが響いてくる。

 


例えば過去と未来と今 無理矢理に繋がなくてもいい
作り笑いで回る世界に さよならを
誰もが日々に願い求め 失望しては希望を抱く
例えばきっと それが素晴らしい世界

 

この歌は、先述の通り、”ソラニン”にインスパイアされた歌らしいけど、きっと自分達をも重ねていたんだと思う。僕は、この歌から一番言葉の温度を感じたし、SUPER BEAVERが到達した答えってのが、この歌だったのかなって思う。作り笑いで回る世界にさよならを、それにはとてもとても勇気がいることなのかもしれないけど、でもSUPER BEAVERは、ちゃんとさよならしたんだね、自分たちを守るために、自分たちの音楽を守るために。

 


■ということで、長きに渡りましたが、改めて、SUPER BEAVER10周年おめでとうございます。実は、メンバーのみなさん、僕の年下なんですね、ちょっとその辺に変な嫉妬が湧いてきますが、笑。これからも応援します。

 

これも実はですが、一度もSUPER BEAVERをライヴで見かけたことがないので…いつか行きたいなぁ、いつか行けるかなぁ。

 


"SUPER BEAVER 「how are you?」~「ささやかな」LIVE"

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