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真っ暗な場所に居れば居るほど光を眩しく感じることができる

amazarashi

虚無病(初回生産限定盤)(DVD付)

【虚無病 / amazarashi】

 

■虚無病…というのが、amazarashiの新しいミニアルバムの作品の名前である。”病”とついているが、これはボーカルの秋田さんが考えた架空の病気であり、現実には存在しない…似たようなものは存在しているような気もするけどね。

 

まず、症状としては、うつ病PTSDなどが近くて、何にもやる気が起こらなくなるのが特徴。要は、何にもしなくなって、ほとんど廃人と化してしまう病だ。

 

それが厄介なことには、テレビやインターネット、書籍などを見たり読んだりしただけで…つまり、どうやら”言葉”を見聞きしただけで、感染してしまう可能性があるという、恐ろしい病なのだ。しかしながら、実際にはどんな言葉がその感染の原因になっているのかが分かってなくて、感染は広まるばかりなので、ネットやテレビなど、娯楽の媒体は規制されてしまっている。(小説の中に、”奪われてしまった”という言葉が使われていたので、おそらく規制でもされているのだろう。)

 

…というのが、”虚無病”というものの設定である。

 

まぁ、ストーリー自体は、気になったなら各々読んでみてください。長くないので、さらっと読めてしまうけど…というより、本気でこの題材で物語を書いたら、きっと面白いだろうな、って思う。

 

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■ミニアルバムなだけに、収録曲は5曲で、これまたさらっと聴けてしまう。しかしながら、内容は1曲1曲が濃くて重くって、5曲で十分お腹いっぱい、というのが正直な感想。

 

小説と、各曲のつながりをどこか探そうとはしてはみるけど、どうやらあんまり関係はなさそうかな…?一応、表題曲として【虚無病】は入っているけど。

 

ただ、何となく、アルバム全体から、”虚無感”というものは伝わってくる。一曲目から【僕が死のうと思ったのは】だし、他の曲も、”死”という言葉が多く使われているような気がする。

 


■しかしながら(僕は、何度も同じことを言っているけど)、amazarashiの曲を暗いと思ったことは、あんまりなくって…いや、正確には、暗いなって思うこともあるけど、それだけで終わらせるべきではないと思っているし、逆に希望を感じることもある、と言った方が良いかもしれないな。

 

悲しみや苦しみ、絶望、死、虚無など、そういうものの裏には、必ず光があるもので、逆に言うと、光を歌うために、そういう暗い部分をamazarashiは歌ってきたのだと、そういう風に思っている。真っ暗な場所に居れば居るほど光を眩しく感じることができるんだろう。

 


■このアルバムには、【メーデーメーデー】という曲が入っているのだが、こんな歌詞が出てくる。

 


僕は人を愛すが、それ以上に人を憎んだ
殺したい奴はいるが、守りたい人もできた
世界を恨む時代は終わった 貸しは返すつもりだが
その期に及んで 競い合うつもりか

 

この辺り…秋田さんのパーソナルな考えが、前面に出ているのかなって思う。というより、こんな風に歌うようになったなんて、全部の作品を聴いてきた自分的にも、ちょっと驚いた。”世界を恨む時代は終わった 貸しは返すつもりだ”なんてね。

 


このアルバムについて、秋田さんはこのように語っている。(ネットでインタビューを引っ張ってきました。)

 

「虐げられた人間が、自殺するか、社会に怒りを向けるかって、自分を好きかどうかだと思う。amazarashiは、自分を責める人間が、怒りを中だけじゃなくて外にも発散してくっていう作業だった」

 

そう語った上で、『虚無病』という作品が、amazarashiで行ってきたことの一区切りの作品、としている。そういう想いが、”世界を恨む時代は終わった 貸しは返すつもりだ”という歌詞に込められているのだろう。

 


■ところで。

 

僕がこのアルバムを買ったのは、もちろん『虚無病』という作品自体を楽しみだったから、という理由もあるけど、一番の楽しみは、初回限定盤のDVDだった。

 

そのDVDには、【この街で生きている】という曲のLIVE映像が入っているんだけど、僕はこの曲がとても大好きなので、今回ぜひとも聴きたくて、CDを購入した。だから、購入して家に帰って、CD本体の方を聴くより先に、DVDに収録されている【この街で生きている】を聴いた。

 

CDの音源バージョンで聴きたかったので、アコースティックバージョン(秋田さんの弾き語り)だった、ってのがちょっと残念だったけど、それでもやっぱりこの曲は素晴らしかった。

 

改めて、全部のamazarashiの曲の中で、おそらく【この街で生きている】が一番好きだなって思った。

 

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