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おじさんの音楽レビュー#27 『NOW PLAYING / AL』

NOW PLAYING

NOW PLAYING / AL

 

 

■前作『心の中の色紙』から1年9カ月ぶりに発売された、待望のALのセカンドアルバム『NOW PLAYING』です。

 

個人的には、前作は”どれだけandymoriと似ているか”という風に、andymoriと変わっていないところを探すように聴いていた気がする。そんな僕と同じように、andymoriからのファンの方は、そういう気持ちで聴いていたんじゃないかなって思う。そういう人も多かったと思う。

 

ただし、その前作の中に、あまりandymoriを見つけることができなかったので、ああ新しいバンドなんだと、それを認めた上で、今作はもう素直に始めから、ALというバンドの新譜だという意識で聴いた。そういう意味では、僕にとっては、この2枚目こそ、本当の意味でまっさらな状態で聴けた、ALのファーストアルバムだという気がしている。

 


■で、総じて作品に対する感想。

 

いつだったか、長澤知之さんのベストアルバム(アンソロジーアルバムと形容されていたっけ?)を聴いた時に、長澤知之というアーティストは、1曲1曲で曲の雰囲気が本当に違って聴こえてきて、捉えどころがないというか、何ていうか、カメレオンのような人だな、という風に紹介したことがある。

 

そして今回、ALの新譜を聴いてみて、同じようなことを感じた。1曲1曲で本当に印象が違っていて、捉えどころがない…同じ形容をするならば、カメレオンのようなバンド・作品だなと感じた。

 

一生懸命作った作品に、こういうことを言うのは申し訳ないことなのかもしれないけど、そんなに力を入れることなく、楽しんで遊びながら作った作品だというようなことも感じた。

 


■ここで、音楽ナタリーにて、ALのインタビュー記事が載っていたので、少し参照・引用してみました。

 

参照・引用元

natalie.mu

 


まず、このアルバムのテーマとして、小山田さんが語っているのは、以下の通り。

 


“ショートナイト”です。アルバムにも同じタイトルの曲が入っていて、“短い夜が明ける”というテーマなんです。その曲ができたときに、“ひとときだけの自由”みたいなイメージのミニアルバムを作りたいという話になって。楽しい夜って、すぐに終わっちゃうじゃないですか。そういう感じを出せたらいいねって。

 

そう言われると確かに、今作の1曲1曲は、何だかすごく潔くて、長々ダラダラとせず、パッとやって、はい楽しかったね!じゃあ終了!はい次!みたいな感じがする、笑。それは、僕が先述したような、”1曲1曲で全然違う印象を受ける”に繋がるのかもしれない。この曲はこういう感じで良い曲だったけど、それはそれで終わって、次の曲次の曲へと続けていくという感じだった。

 

”衝動的”という言葉も、インタビューの中にあったけど、だから1曲1曲がそれぞれ独立しているように聴こえるのかもしれない。

 


それから、andymori時代の音楽と、現在のALの音楽の違いみたいなものも、少し語っている。同じく、以下は、小山田さんの言葉です。

 


昔に比べたら落ち着いていると思いますね、気持ち的にも。いまだに「落ち着きがない」とは言われますけど(笑)、自分としてはだいぶ変わったなと思っていて。(andymori時代の)まくしたてるような歌い方にしても、「もっと俺を見ろ!」みたいな感情から出ていた気もするんですよ。今はまた違う感じなので。

 


幸せな空間を作りたいという気持ちで音楽をやるようになってきたので。以前はデトックスと言うか、自分の中にあるものを吐き出す感じがあったんです。今もそういう気持ちがゼロではないんですが、それよりも幸せな場所を作りたいなと。

 

”幸せな場所”という言葉が、何となくキーになっているのかなって思う。先述の通り、小山田自身が語っている通り、andymoriの初期の頃は、歌詞の意味は多少伝わりにくくても、まくしたてるように歌ったりして、とても勢いを感じた。後半になってくると、そういうまくしたてるような歌い方は多少息をひそめた感はあったんだけど、”幸せ”という感じではなかった気がする。

 

それが、このALになって、幸せというか、優しい雰囲気が漂っているように感じる。もちろん、andymoriも優しい曲もあったけど、優しい雰囲気という感じてはなかった。

 

曲にしたって、ALの曲は本当に聴きやすい感じがするし、でもしっかりと新しいことを次から次へと取り入れていて、さっきも言ったように次から次へと曲の感じが変わるので、飽きが来ない。1曲1曲が短いので、すぐにアルバムが終わって、無限にループして聴ける感じ。andymoriは、結構メッセージ性の強い曲もあったけど、ALはあんまりそういうことは感じることはなく、腹にたまることなく、軽く聴ける感じ。それが、ALの魅力なのかな。物足りない部分も少しあるけれど、これはこれで良いと思う。

 


■印象に残った曲としては、

 

2. NOW PLAYING

youtu.be

アルバムの表題曲で、和訳すると”現在、絶賛演奏中!”というところだろうか。タイトル通り、今のALの音楽を、メンバーの気持ちを映し出している曲だと思う。アルバムの中だと、一番純粋なギターロックって感じがする。

 

3. ショートナイト
先述したように、このアルバムのひとつのテーマにもなっている曲。短い夜ですぐ終わっちゃうけど、この夜を全力で楽しもうよ、という、衝動的だが、一番根本にある気持ちを高らかに歌っている曲だと思う。【NOW PLAYING】からの流れも、きっと意味があるんだろうね。

 

5.ウォータースライダー
不思議な曲。インドっぽい(?)というか、民族音楽っぽいというか。インタビューの中で、”ビートルズに影響を受けた”とも語っていたけれど、まさしくこの曲はツインボーカルが楽しめる1曲になっていると思う。

 

6.とびましょう
これは、タイトルから出落ちか?あの事件を自虐的に歌っているのか?笑

 

7. 丘の上の記憶
8. 輝く飛行船
この2曲は、後述するが、ALのメンバーや自分自身の子どもの姿が浮かんできた曲だった。原風景っていうのかな、そういうものが一気に浮かんできて、すごく懐かしい気分に包まれる。飛行船なんて、最近見ないよね。子どもの頃に見た記憶が微かに残っている。そんなに強い思い出ではないのに、何かそんなことを不思議と思い出した。アルバムの中では、この2曲が一番印象に残った。

 

11. ハンアンコタ

youtu.be

MVも作られている曲なので、これもまたこのアルバムを象徴しているテーマのひとつなのかなって思う。”大きくなったら 何になるの”とか”大きくなったら 誰に会うの”とか、幼い子どもに語りかけるように歌っているのも印象的。ひょっとすると、これは子どもの頃の自分たちにも語りかけているのかもしれないね。ところで、”ハンアンコタ”ってどういう意味だろう?

 


■ところで、衝動的に作られた作品とは言っているものの、僕個人的に、このアルバム全体的に漂う、とあるものを感じた。

 

それは、何て説明したらいいのか分からないけど、”大人になりたくないと思っている大人”、あるいは、”子どもの頃の自分達”が、1曲1曲から見え隠れしているような気がした。

 

まぁ、ロックミュージックをやっているアーティストのその活動自体が、大人になることへの一種の反抗にもつながっているのかもしれないけど、それをまさに表現しているような作品だと思った。

 

不思議なんだけど、曲を聴いていると、ALのメンバーが、ひいては、自分が子どもに戻って野原に立っている景色が浮かんできた。無邪気に駆け回った山の景色や、夏に涼みに行った小川や、そういう懐かしい光景が浮かんできた。

 

しかし、そう思いながら歌詞を読んでみても、あえてそういう子どもの頃を想起させるような歌詞は、そんなに出て来ない気がするので、僕自身の感覚的な部分が影響しているだけかもしれないね。他の人は、どう思うかな?