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おじさんの音楽レビュー#32 『REBROADCAST / the pillows』

REBROADCAST 初回限定盤

【REBROADCAST / the pillows

 

01.Rebroadcast
02.Binary Star
03.ニンゲンドモ
04.ぼくのともだち
05.箱庭のアクト
06.眩しい闇のメロディー
07.Bye Bye Me
08.Starry fandango
09.BOON BOON ROCK
10.Before going to bed

 

 

 

■振り返って調べてみると、僕はthe pillowsのオリジナルアルバムとしては、18枚目のアルバム『TRIAL』を最後に聴くのを止めてしまっていたようだった。確か、このアルバムのあと、the pillowsは短い休止期間に入ったと記憶している。

 

もともと僕は、結成15周年の時にthe pillowsを知って、そこからさかのぼって古いアルバムを聴きつつ、新しいアルバムも聴いていったというファンなのだが、古いアルバムはどこまで戻っても本当に素晴らしい作品ばっかりだった一方で、新しい作品は、新しくなればなるほど、自分が好きになった頃のthe pillowsとは離れていっている気がして、徐々に熱が冷めていった。

 

そして、アルバム『TRIAL』辺りを境に、作品を聴くことを中断してしまうほどになってしまった。何度も言うようだが、ある程度古い作品はどれも最高なので、the pillowsは今でも本当に大好きで、今でも古い作品を聴いてアウイエ―している。

 


…そして、時が経って、最近(2018年)のお話。

 

目的はthe pillowsではなかったが、ArtTheaterGuildという、山中さわおさんプロデュースのバンドの作品をチェックしにレコード屋に行った時だった。そのおんなじ試聴機に、the pillowsのアルバム『REBROADCAST』が入っていたので聴いてみたことがあった。

 

「…あれ、何だか懐かしい感じだな」というのが、最初の感想だった。そして、これは全く失念してしまっていたのだが、そういえば来年(2019年)に、the pillowsは結成30周年を迎えるんだなということも思い出して、何だか急にthe pillowsが恋しくなってしまった。

 

結成30周年を迎えるということは、僕自身は結成15周年の時にthe pillowsを知ったので、ちょうどその折り返しを迎えることになる、と。そう考えると、何だか感慨深かった。

 

その時は、結局アルバムは買わなかったが、一旦気持ちを持ち帰って、the pillowsを懐かしく聴き直したり、新作アルバムや最近の活動などを調べてみたりしているうちに、「久しぶりにアルバム聴いてみるか」と思い立ち、後日『REBROADCAST』を購入したのだった。

 


■アルバム『REBROADAST』を聴いてみて、先述の通り、なんかとても懐かしい気持ちになった。もちろん、the pillows自体を久しぶりに聴くので、そういう気持ちになるのは必然のことだと思うけど。

 

昔のthe pillowsの方が好きだという意見を変えるつもりはないけれど、時間が経ったせいか、新しいthe pillowsに対して、それはそれとして聴くことができるようになったことは大いにあると思う。

 

ということで、アルバムへの向き合い方は、ちょっと変わっているかもしれないけれど、このアルバムへの感想や、自分で調べてみた情報などをまとめてみたいと思う。

 

 

 

■まず、ここまで何度も書いている、”懐かしい”ということについて。

 

自分なりに得た情報からも分かったことだったし、さわおさん自身も動画コメントの中で、「懐かしいワードなんか散りばめてあるので、ちょっとニヤッと笑ってくれんじゃないかなって思ってます」と語っているように、”懐かしい”と感じてもらえるように、ある程度”意図して”やっていたことだったということに気付く。そういうところも、僕がアルバムを聴いてみようかな、と思った所以のひとつだった。

 

the pillows「REBROADCAST」インタビュー|覚悟を決めた山中さわお 再放送のない未来へ向かう - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

 

youtu.be

 

ということで、得た情報なども踏まえて、懐かしいと感じる(べき)ところを挙げてみます。

 


■まずは、3曲目の【ニンゲンドモ】。

 

これは、確かアルバム発売に先立って、MVが発表になった曲だったよね。タイトルを見たときに、もうすでに「あれっ?」て思ったところだったんだけど…これは、あの伝説の名曲(迷曲?)の【Smile】の一節を拝借したタイトルになっている。

 

【Smile】とは、同名のアルバム『Smile』の表題曲なのだが、3曲を1つに繋げたように曲の感じがコロコロと変わる曲で、聴いたことのないピロウズファンの方は、ぜひ聴いてみてください、きっと驚く。

 

で、その【Smile】の中の、”第2ステージ”において、さわおさんが”クタバレニンゲンドモ”と連呼していて、歌詞カードでも表記がカタカナになっているので、今回の【ニンゲンドモ】と通じる部分があるなぁって思っていたが…本当にそうだったらしい。

 

ちなみに、【ニンゲンドモ】は”世直しソング”という感じ笑。何かの動画で見た気がするんだけど、さわおさんは、タクシードライバーにブチ切れたり(この下りがこの歌で歌われているところか?)、立ち読みしているサラリーマンにブチ切れたりしているそうで、それを本人は”世直し”と語っていた。

 

そういう、人間に対する怒りを力強く叫びつつも、自分もその人間の一部なんだよなっていう、悲哀や自虐を歌っている。ポエトリーリーディング的な歌い方もピロウズにとっては新しくて、面白い1曲だと思う。

 

ちなみに、MVには、ギター&コーラスとして参加しているyokoさん(noodles)が出ている。

 

youtu.be

 


■8曲目の【Starry fandango】について。

 

この曲も、イントロを聴いた時に、おっ!って思う曲だよね。さわおさんが語っている通り、この曲のイントロには、アルバム『Thank you, my twilight』に収録されている、表題曲【Thank you, my twilight】という、ピロウズ往年の名曲と同じく、ピコピコとなる電子音が使われている。曲の雰囲気も、何となく両者似ている感じがするよね。

 

そういえば、先述の通り、結成30周年のアニバーサリーイヤーを迎えたピロウズだが、その一連のプロジェクトを、”Thank you, my highlight! ”と名付けているが、これも【Thank you, my twilight】を文字ったものだと思われる。

 

20周年の時の、武道館での916LIVEにおいて、1曲目だったのが【Thank you, my twilight】だったんだけど、ファンのみならず、ピロウズにとっても、特に大切な曲なんだということを、今回のアルバムでも再確認できる。

 


■それから、9曲目の【BOON BOON ROCK】。

 

この曲には、”ローファイボーイ ファイターガール”という歌詞が出てくる。これもまた、アルバム『GOOD DREAMS』に、同名の【ローファイボーイ ファイターガール】という曲が存在しているので、明らかにここから拝借したものだろう。

 

曲の感じも…まぁ似てると言えば似てるかな、明るくて陽気な部分は、両曲ともになる雰囲気だと思うけど、【BOON BOON ROCK】のほうは、個人的には、【I Know You】を思い出した。

 


■その他、なんかこれ懐かしいなって感じたところを書いてみると、

 

4曲目の【ぼくのともだち】は、アルバム『PIED PIPER』に収録されている、【Across the metropolis】に雰囲気が似ていると思った。そういえば、2016年に出た、B-side Collectionアルバムのタイトルが『Across the metropolis』だったが、この曲(この言葉)もピロウズには大切なものなのかもしれない。

 

続く5曲目の【箱庭のアクト】なんかは、アルバム『Wake up! Wake up! Wake up!』に収録されている【プレジャーソング】に似ているなって思った。

 

さらに、続く6曲目の【眩しい闇のメロディー】は、the pillowsそのものを歌っているとも思われる超名曲、【スケアクロウ】や【雨上がりに見た幻】なんかの、重厚で渋い感じに雰囲気が似ていた。

 


…まぁもちろん、the pillowsは、30年近くも長く活動を続けてきたバンドなのだから、そりゃ似たような曲の1曲や2曲はあるだろうって感じだけど、先程も言ったように、そこにさわおさんの、ある種の企みが含まれているのだとしたら、そういうところを想いながら聴いていると、さらにこのアルバムを聴くことが楽しい。

 


■あと、これは曲に関することではないんだけど。

 

今回のアルバム『REBROADCAST』の、歌詞のジャケットの裏表紙を見てみると、雷と花火が同時に映っている印象的な映像を背景にして、何やら逆光で黒く木が映っているのが見える。

 

これはきっと…というか、十中八九そうだと思うんだけど、アルバム『Please Mr.Lostman』に収録されている、同名の表題曲【Please Mr.Lostman】のその歌詞に出てくる、”年を取って忘れられてく痩せた枯れ木”を表しているのだと思う。

 

先程紹介した、【Thank you, my twilight】が、結成20周年の916LIVEの1曲目だったのに対して、【Please Mr.Lostman】は、実は結成15周年の916LIVEの1曲目にやった曲だったので、同じくらい特別な曲という位置付けなんだろうね。

 


■という具合に、さわおさんがしゃべった通り、アルバムの至るところに、これまでのthe pillowsの記憶のかけらのようなものが散りばめられている。

 

で、それらを総括しているのが、”REBROADCAST”という言葉・曲なんだよね。

 


ふり返ったらちゃんとあった
夢遊病で残した足跡も
生き様って呼べるもんだな

 


Rebroadcast.
May I wish to redo again?
May I wish for a chance again?
(再放送
 もう一度やり直しを望んでいい?
 チャンスを望んでいい?)

 

これは、1曲目の表題曲【Rebroadcast】の歌詞の一部なんだけど、例えば、前者の部分で出てきている、”足跡”という言葉は、the pillowsを表しているフレーズの一つだと思う。印象に残っているのは、【雨上がりに見た幻】で、

 


足跡の無い道を選んで
すいぶん歩いたな
荒野の果て 何処かにきっと
足跡残ってる
それだけが それだけが
生きた証
それだけが それだけが
僕らの誇り

 

という風に歌われている。【雨上がりに見た幻】という歌は、結成20周年のときに生まれた、新しいthe pillowsのマスト曲であり、あの【ハイブリッドレインボウ】の続編的な要素も含んでいるので、とても特別な歌だということは明らかである。

 

”REBROADCAST”とは、直訳すると”再放送中”という意味になるが、まさしくこのアルバムを象徴しているような言葉になっていると思う。

 

さわおさんもリスナーも同じだと思うけど、過去のthe pillowsの記憶に触れて懐かしんで、何ていうか同窓会みたいな感じだよね。久しぶりに会ったね、ってお互いを労うような、そういうアルバムだと思う。

 

そして、ここはまだ、30周年イヤーの入り口に過ぎない。これからの、the pillowsに注目していきたい。やっぱり、the pillowsはかっこいいね、これぞロックバンドだよね。